グリンワーズの災厄の乙女

「災厄の乙女来たり。白き髪に深緑の瞳を持つ娘、この国に災いをもたらすだろう」

九年前に下ったひとつの託宣は、ひとりの少女の運命を、ひとつの国を、大きく狂わせた。
これは、災厄の乙女と呼ばれた少女と、災厄の乙女を憎む青年の、幸福を求める物語。


Chapter-1:In forest

グリンワーズの森には、災厄の乙女が住まう塔がある。
春の訪れた森にいたのは、自分の名前を忘れた、小さな少女だった。
「願ったら、殺してくれる? 同情でも憐みでもない、純粋な憎悪で」


Chapter-2:In Kingdom

森を出て王都へやってきたレギオンとマリーツィア。
これからはじまる長い旅のための支度を整えるために彼らが滞在したのは、王都の影にひっそりと潜む裏の街だった。


Chapter-3:In Home

「私は、レギオンに後悔してほしくない」
もう二度と戻らないと決めたこの国を去る前に、マリーツィアには行きたい場所があった。
レギオンの妹と両親が眠る、彼の故郷へと、二人は向かう。


Chapter Children:In Port town

【グリンワーズの希望の種】
グリンワーズの迷いの森に、かつて「災厄の乙女」と呼ばれる少女がいた。
白い髪であるがゆえに差別を受け森に逃れた双子のアリアとカイルは、雪が覆うその森で、ひとりの青年と出会う。(本編X年後:子ども世代)

グリンワーズの希望の種

【エルンガルドの雪の雫】
ライナスの故郷・エルンガルドへ戻ってきた。双子の姉弟を連れて。
アリアはライナスに恋をする。だって彼は、アリアの王子様だったから――。
けれど、ライナスは眩しすぎるアリアから逃れ続ける。
「俺は、王子様にはなれないよ」

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